コステロ(Costello)症候群

【概説】
 コステロ症候群は 特異的とくいてき顔貌がんぼう、 心疾患、骨格異常、精神発達遅滞、皮膚症状などを特徴とする、 遺伝性いでんせい疾患しっかん です。多くは重度の精神発達遅滞を伴っているものの、医療的なケアが必要なケースは少なく自宅で療養されているケースが多いです。およそ1,300,000人に1人といわれる難病で自然歴や予後も明らかになっておらず、これから解明が待たれる病気です。根本的な治療法はなく、定期的に受診し早期異常の発見に努めることが重要です。

【どんな病気?】
 細胞の増殖、分化を制御する信号の伝達経路の異常により起こる、遺伝性の病気です。1971年に初めて報告され、現在世界中で150人、うち日本でも30人が遺伝子診断されています。カールした毛髪、ふっくらとした頬、大きな鼻と口が特徴的で、しわの深いしゅしょう・足底、色黒などの皮膚に特徴的な所見や心臓の合併症(大型だいがた心筋症しんきんしょう不整脈ふせいみゃくなど)、精神発達遅滞を伴うケースもあります。2歳ころまでに哺乳障害や、成長障害、不機嫌でよくぐずるなど過敏な状態がみられますが、2歳ころになると改善するという特異的な発達パターンをとります。
 臨床症状が軽度なケースでは診断がついていない可能性もあり、現在、疫学調査が進められているところです 。現時点では根治的な治療法はなく、合併症である悪性腫瘍と、6割で併発している肥大型心筋症に対する早期発見・早期治療が予後の改善に有用と考えられています。